マイニング???

好奇心というものはいつになっても衰えないもので、またまた変なものに興味が湧いてしまいました。その好奇心の対象は、ついこの間ハッキングによって580億円相当が奪われ大騒ぎになった仮想通貨なるものです。

実はiMacを購入してからeGPUに興味があって、外付けのGPU BOXを購入し、それに搭載するためのRadeonのGPUを物色していたのです。しかし何故か商品が非常に品薄で、しかも定価よりかなり高額になっていてなかなか入手できない状態が続いていたのです。
不思議に思って調べてみると何やら「マイニング」というキーワードがいたるところに見られました。どうやらこの「マイニング」のためにGPUが買い漁られて品薄になっているようなのです。

「マイニング」というのは大部分の仮想通貨の新規発行に必須の作業で、その作業には膨大な計算量が必要となり、とても個人が単独で成しうるものではありません。また、仮想通貨取引が正しいものであることを承認し、データが書き換えられないようにする重要な作業でもあります。この作業に対して支払われる報酬としての仮想通貨の獲得を目的として最近世界中で「マイニング」がブームになっているのです。「マイニング」の計算に適しているのがCPUよりもGPUであることがGPU需要の異常な増大をもたらしているのです。

個人だけであれば大したことはないのですが、マイニング工場のように大規模なものが世界中に建設されるようになるとそれに使われるGPUは膨大な数に上ります。最近ではマイニングに使用される電力が世界の消費電力の0.5%にまで達しているという報告までありました。冷却設備が整わずに無理な運転をさせた工場では火災も発生しているようです。昔のゴールドラッシュのような人間の欲望の暴走がまたもや始まったようです。
仮想通貨そのものが悪とは思いませんが、それにまつわる様々な犯罪が増加することは避けられないでしょう。適正に扱われれば、デジタル時代にふさわしい通貨であるかもしれません。今後の動向に注目しましょう。

というわけでようやく目指していたGPUを入手することができました。
Radeon VEGA 56という最新の機種で、グラフィック性能に優れていてiMacの非力な描画能力を補完してくれるはずです。

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iMac用のeGPUとして使用する前に「マイニング」マシーンとして遊んでみることにしました。
そこでほぼ2年前にGTX980Tiを取り付けたPCのGPUをVEGA 56に交換して即席の「マイニング」マシーンを作ってみました。
マイニングに必要なのは仮想通貨を保管するためのお財布、Walletと、マイニングするためのソフトウエア、効率よくマイニングするために参加するマイニングプールを準備する必要があります。
私の場合はVEGA 56が得意とする仮想通貨、Moneroを対象としたので、Walletはデスクトップ上のMyMonero、マイニングソフトはCastXMR、マイニングプールはsupportXMRを使用しました。
CastXMRの起動用のバッチファイルは以下のようにしました。
cast_xmr-vega -S pool.supportxmr.com:7777 -u [Walletのアドレス] -p [ユーザー名あるいはメールアドレス]
VEGA 56の設定はRadeonのドライバーをインストールするとトレイに常駐するツールからグローバルwattmanでメモリーのクロック周波数を950MHz、電力制限を-25%に設定してやるとマイニングの効率を落とすことなく消費電力を160W程度にすることができます。今回使用したPCはマイニング用ではないので無駄に消費電力が高く、GPU抜きでも70〜80Wもあるのでトータルで230〜240Wになってしまいます。
これを24時間も稼動させたら消費電力が馬鹿になりません。社会にも迷惑をかけることにもなるので私の場合は太陽光発電で発電している時だけ稼動させました。

のべでほぼ一日稼動させた場合のマイニングの結果は約0.015XMRでした。1ヶ月で0.45XMRですからMoneroの時価にもよりますが1XMR=2万円程度だとすると9000円の収入になります。もちろん電気代が差し引きになるわけですが、日本の場合は電気料金が異常に高い。三段階料金で300kWhを超えた分は30円/kWhです。PCの1ヶ月の消費電力は0.24×24×30=172.8kWhですから1ヶ月分の電気料金は5184円と極めて高額になります。従って利益はせいぜい3800円程度ということになります。やはり個人のレベルでマイニングによって利益を上げようとすることがいかに意味がないかということがよく分かります。

電気代が極端に安い外国や、多数のGPUを稼動させられる企業規模のマイニング以外は単なるお遊びということになるのでしょうね。もちろん仮想通貨が暴騰すれば採算が合う可能性も無きにしも非ずですがほとんど博打のようなもので、健全ではありませんね。
それよりも、太陽光発電のように自前で電力を供給できる場合は例外として、電力の無駄遣いは慎むべきだとは思います。