ケンタのてんかん 臭化カリウムの追加

前回は7月8日に抗てんかん薬をコンセーブからフェノバルビタールに変更してから7月25日の軽い顔面部分発作を最後に発作が出なくなったことまで書きました。
しかし、8月7日の夜中に2回、1分前後の全身発作が起こり、このままでは治療は不十分であると判断してすぐに動物病院に行き臭化カリウムの追加を申し出ました。
ジュンやケンタが長年お世話になっている信頼できるかかりつけの動物病院ではまだ臭化カリウムを使用した経験がなく、私の申し出には当初非常に慎重でしたが、私の説明に理解を示して下さり、これまた少し前に私が依頼していて取り寄せた臭化カリウムの投与を了承してくださいました。
一般的には臭化カリウムを他の抗てんかん薬(ケンタの場合にはフェノバルビタールですが)と併用する場合には当初の投与量は15mg/kg/回を1日2回が標準のようですが、今回は副作用をできるだけ抑えるために約10mg/kg/回を2回、ケンタの場合には300mg/回から開始することにしました。

300mgの臭化カリウムというと写真のように僅かなもので、ドッグフードと一緒に与えないと投与できないほど微量です。

ドッグフードの上にある2粒の錠剤はフェノバルビタールによる肝臓への障害を抑えるために念のため与えているウルソデオキシコールです。

そして7月8日から与えているフェノバルビタールは小さな錠剤で、これは食事が終わって約1時間後にドッグフードと混ぜて私の手から直接与えています。こうしないと錠剤だけ残してしまう恐れがあるのです。

臭化カリウムの半減期はとてつもなく長く、25日から46日とされ、血中濃度が定常状態になるには数ヶ月、少なくとも2ヶ月程度は必要とされています。
要するに効き始めるのには時間がかかるということですね。

でもケンタの場合には、投与し始めてからまだ23日しか経っていないのに非常によく効いているように思います。
論より証拠で、ケンタのてんかん発作が初めて起きた5月24日以来、頻繁に群発発作に悩まされてきましたが、臭化カリウムを追加してからは無発作期間が最長の22日を記録しているのです。

当初は動物病院の先生にもケンタのてんかんはかなり重い症状だと言われていたのですが、早々にコンセーブに見切りをつけ、海外で主流のフェノバルビタールに切り替えて以来劇的な改善が見られました。そして臭化カリウムを追加することによってその効果が更に増強された感じです。

臭化カリウムの更にありがたいところは、その半減期の長さに由来する安定性です。投与時間の変動の許容範囲が格段に広く、いつ薬を与えるかに過度に神経を使う必要がなくなったことです。またフェノバルビタールのようにだんだん代謝量が増えて薬の効果が薄れていく心配もありません。副作用はフェノバルビタールと似たような多飲多尿や運動失調は起こり得ますが、少なくとも肝臓への障害はありません。フェノバルビタールによる肝臓障害が起こりそうな場合には臭化カリウムに置き換えていくことも可能かもしれません。

現在のケンタは、抗てんかん薬の副作用で頻尿になり、室内ではマナーベルトは欠かせません。また、運動失調、特に下肢の機能低下によって勢いよく走ったり高いところに飛び乗ることができなくなりました。
でも少なくとも命に関わるような、酷いてんかん発作や抗てんかん薬による肝障害からは免れており、散歩に行ったり私と戯れたりする平穏な生活を送ることができています。今はそれだけでただ感謝で、幸せなことだと思っています。

この平凡で幸せな日々が1日でも長く続きますように、、、