ケンタのてんかん フェノバルビタール投与後の経過

ケンタのてんかんにはコンセーブ (ゾニサミド)は全く効果がないと判断して、7月8日からフェノバルビタール(PB)に切り替えました。

30mgの錠剤を毎回3錠、1日2回の投薬です。
ケンタの体重が29kg弱ですから3.1mg/kg/回で、推奨初回投与量2〜3mg/kg/回にほぼ沿っています。

7月10日の朝6時くらいまでは小さな部分発作が頻発していましたが、以前のような全身が硬直するような激しい発作は全く起きなくなりました。

そして7月25日の夕方に動物病院に血液検査のための採血に行った後、帰宅して夕食を食べさせてしばらくしてから20秒弱くらい続いた顔面の部分発作を最後に全く発作を見なくなりました。

当初フェノバルビタールの初期副作用の運動失調がかなり顕著に出て、フラフラで、立ち上がるのも歩くのも大変な状態でしたが、1週間ほどするとだいぶ歩けるようになって家の周辺を散歩できるようになりました。
昨日の夕方は涼しかったこともあって、元気な時のケンタでさえ夏場は行かなかった急な坂道まで行ってくることができました。完全に元どおりの元気さを取り戻せるかは?ですが、日常生活に支障がない程度には回復して来ました。

フェノバルビタールの長期投与で最も心配なのは肝臓へのダメージです。
それを防ぐには、てんかんを抑えられる最低量の投与量を知ることです。
そのためには定期的な血液検査が欠かせません。

一般的にフェノバルビタールの血中濃度が35μg/mLを超えた長期投与では、ほぼ確実に肝毒性が発症するようで、その発症の時期の大半は1年を超えてから、中央値は39ヶ月と言われています。

そこでケンタのフェノバルビタールの血中濃度はどの程度で、肝臓への影響はどうなっているのかを知る必要があります。
7月25日の採血は肝臓への影響を知るための血液検査、そして7月27日にも動物病院でフェノバルビタールの血中濃度を調べるための採血をしてもらいました。こういう検査は自分で申し出ないとなかなかやってくれないかもしれません。

結果は以下の通りでした。

ALPやALTの増加は、フェノバルビタールが肝臓での酵素生成の強力な誘導物質であることから必然的に生じるもので、これをもって直ちに肝臓に障害が発生したわけではありません。
肝臓の損傷具合を見るにはむしろBA(TBA:総胆汁酸濃度)をモニターしている方が正しいのだと思います。
ケンタの場合はALPやALTは正常値の3倍程度上昇しているものの、BA値は9とごく正常です。GGTも低いようです。まだ心配するには及びません。

フェノバルビタールの血中濃度は24と基準範囲のほぼ中央です。多からず少なからずの理想的な値になっています。この血中濃度はフェノバルビタール投薬開始から20日目の投薬40分前に採血したもので、血中濃度が十分安定化したと思われる状態で、しかもトラフ値を測定できていると思います。

これらの検査でフェノバルビタールが理想的な投与量であり、肝臓への影響も最小限に抑えられそうだという見通しが得られました。私としては一安心です。
しかし動物病院の先生は非常に副作用を心配されていて、フェノバルビタールの投与量を3錠から2錠に減らすよう勧めています。
しかし私は経験豊富な海外の獣医学界の人々が著した文献の以下の部分が気になっているのです。

要するにフェノバルビタールの投与を始めてしばらくすると、フェノバルビタールの代謝速度が増加して今までより早く体外に排出されてしまって、血中濃度が減少し、今まで抑えられていたてんかんが発症してしまう危険性があると言っているのです。少なくとも2ヶ月くらいは様子を見ないとフェノバルビタールの血中濃度は安定化しないということです。

ということで、当分の間は現状維持で行くことにします。

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