プロボノ

先日7月1日の「クローズアップ現代」で取り上げられたプロボノ、自分の実体験と照らし合わせても非常に興味のある話題でした。そして多くの若者達が、昔の私と同じ思いを持っていることに喜びというか希望というか、とにかく明るい光を見てとても嬉しく思いました。

裏を返せば私の時代も含めて、現代の企業が持つ重大な問題点が明らかになったということでしょう。

昔、日本には近江商人に代表される立派な企業文化がありました。それは現代の企業を代表するトヨタ、丸紅、伊藤忠などの一流企業の源流でもあったのです。

商売は社会的な責任を果たすことが第一義であり、それに懸命に努めたご褒美として利益を得るのだという経営理念が厳格に守られていました。したがって営利至上主義に陥ることを堅く戒めていたのです。

ところがアメリカの自動車業界に君臨したトップ達のように、会社が大幅な赤字に陥り、社員を大量に解雇しているのにもかかわらず(社会的責任が果たされていないのにもかかわらず)、自分だけは逆に大幅に増額された莫大な報酬を受け取り続けていたという、まさに一部の人間(金持ち、投資家)のための営利至上主義を目的とした企業が、現代の企業の大勢を占めているようになってしまいました。

日本の企業の動きを見てもその傾向がよく分かります。社会貢献や従業員に対する利益の配分よりも、投資家に対する配当に重点を置く傾向です。要するに金持ちのために企業があるという考え方が広まってしまったのです。

こんな企業で働く従業員に働き甲斐を求めることは無理というものです。毎日儲けろ儲けろの一点張り。自分はいったい何のためにこんな苦労をして働いているのか、疑問に思わない人はいないでしょう。

誰しもがお金のためだけでなく、困っている人や社会に貢献したいと考えているのではないでしょうか。自分が毎日一生懸命働いている見返りが、多くの人たちの感謝だったらどんなに励まされることでしょう。

そんな思いが今プロボノとして広がりだしているのだと思います。
この社会もまだまだ捨てたものではないなと思わせる、とても嬉しい話題でした。