絶望の裁判所

瀬木比呂志さんの「絶望の裁判所」をKindle版で読んでいます。

自身、その組織の中にあって33年間過ごした経験が何よりも重く、真実の迫力を感じます。31年間官僚を務めて退職を余儀なくされた古賀茂明さんの「信念をつらぬく」が、想像していた通りの官僚の内向き志向を明らかにしてくれていたので、同じ官僚組織である司法もたぶん、と思っていました。

予想通りの酷さでした。
元々最高裁などは、過去の判決を見ても全く信用していませんでしたが、ここまで酷いものだとは思いませんでした。
法の番人どころではなく、権力の忠犬とも言うべき存在です。
三権分立などとそれぞれの独立を謳っていますが、とんでもない。
官僚組織を通じて密接に政権と結びついているのですね。検察組織も心配ですね。たぶん似たり寄ったりなのでしょう。

これで良く分かりました。
今の日本のシステムでは権力の暴走を抑えるどころか、権力の維持に都合の良いシステムなのですね。自浄作用などは全く期待できないようです。

筆者は特に日本の刑事司法に対して次のように危惧しておられます。

「国家や権力者に都合の悪い調査や告発を行っている人物を逮捕拘留し、必要のない捜索差押えでそのプライバシーを破壊し、決定的なダメージを与えるといったことが可能になる(そのような陰謀の温床になり得る)性格があることも、ぜひ認識しておいていただきたい。」

比較的最近の例で言うと、辻元清美さん、鈴木宗男さん、植草一秀さん、小沢一郎さんなど。とにかく政権にとって余計なことを言う邪魔な存在は個人破壊をして抹殺するという手口が使われているようです。

一方、最近では小渕優子さんのように明らかな問題があるにもかかわらず、一向に追求が進まない例もあります。これは全て検察が関与しているわけですが、あまりにも取り扱いに差がありすぎて呆れてしまいます。

司法は権力の邪魔者を取り除くために使われているような気がします。
日本は本当に大丈夫なのでしょうか?
国民は国民主権の民主主義というものを理解しているのでしょうか?
投票率は低迷する一方で、政権はやりたい放題。
中国や北朝鮮とあまり変わらなくなってきたような気がしてなりません。
国民が惰眠をむさぼっているうちに、気が付いてみたらあらゆる権利が失われ、奴隷同然の状態になっていたなどという、今時あり得ないと思われるようなことが本当になっているかもしれません。

現に、先人が長い間かけて勝ち取ってきた労働者の権利は、派遣労働法やホワイトカラーエグゼンプションなどを筆頭に徐々に浸食され、経営側の思い通りに労働者が働かされる事態へと時代を逆行し始めています。

国民がしっかりしないと、以前のように一部の人間の利益のために多数の人間の権利、延いては生命財産を犠牲にするような世の中になってしまいます。マスコミなどの浮かれた報道に踊らされることなく、作られた好景気の裏で進行している真実を見逃さないようにしたいものです。