近年は読書層が減少しているためか、街の書店が次々に閉店して気軽に寄れる書店がなくなりつつあります。そこで最近は書籍はもっぱら通販での購入になりました。
たまに都会に出た時に書店に寄って見るとびっくりすることがありました。
目立つところにいわゆる嫌韓本やヘイト本、歴史を捻じ曲げた様ないかがわしい本が所狭しと並んでいるのです。一例としてこのサイトをご覧ください。
以前の書店ではこんないかがわしい風景を見たことがありませんでした。この異様な傾向が顕在化してきたのは安倍政権誕生が発端の様に思います。
この政権は意外と国民の多くが知らないでいますが、愚者の愚かな戦争によって日本建国以来初めて日本の主権を失わせた「大日本帝国」の復活を目指している政権です。言ってみれば今ドイツの政権がナチスドイツを再興しようとしているようなものです。
そして「大日本帝国」だけを日本とみなし、それ以外の日本を愛する国民を反日として憎悪する極めて危険な集団です。海外でいえば反社会的集団とみなされている「ネオナチ」と同種の集団と言えるでしょう。
それにしても日本という国は特殊な国です。
あれほどバカな戦争をして滅亡の瀬戸際まで経験したというのに、また同じ体制を作り近隣諸国と対峙しようとしているのですから。
ドイツやイタリアが自らの意思で戦争犯罪を明らかにしてとことん反省し再発防止に全力で取り組んだのとは対照的に、日本は戦争犯罪をとことん隠し、なかったことにしてまた同じようなことをやろうとしている。そもそも戦争を主導した人たちの末裔がいまだに日本をリードしていること自体が異常なのです。
自分たちの祖先を悪く言う人間はいません。あの戦争は聖戦だった、侵略ではなかった、日本人が虐殺などするはずがない、従軍慰安婦なんか存在しない、徴用工はいない等々。
実はこの忌まわしい時代であるはずの「大日本帝国」を拠り所とした人たちが自分たちのアイデンティティを確立するために必死になって無理やり「大日本帝国」の再建をしようと画策しているのが今の日本の異様な状況なのです。
「大日本帝国」の復興を目指してまずは国民を洗脳しなければなりません。その動きの一端が先に指摘した書店の異様な情景なのです。インターネットでもとんでも情報が氾濫しているのは周知の事実。そしていよいよ教育にまで侵攻が始まりました。
第一次安倍政権で教育基本法の改正に成功し、第二次安倍政権が始まるやいなや武道を必修科目として採用させ、昨年にはとうとう道徳まで必修科目にしました。教育勅語まで採用の意欲を示しましたね。着々と戦前の教育に近づいています。そのうち竹槍の訓練も始まるのでしょうか?
そんな危ない日本の状況を危惧する心ある人たちが少なからずまだ存在し声を上げてくれているのは救いです。
今回読んだ本はそんな尊敬すべき人の一人、山﨑雅弘さんの「歴史戦と思想戦」です。

巷に氾濫しているインチキ論の見破り方を伝授してくれます。そして重要な視点、最近よく見かける「反日」とは「反大日本帝国」であるということを教えてくれます。多くの日本人は恥ずべき戦争を起こした「大日本帝国」ではなく、それ以前の美しい伝統や風景を持った「日本国」や、戦後人民主権を手に入れ世界を驚かす自信に満ちた経済発展で頂点に上り詰めた「日本国」を愛しているのです。決して「日本国」を滅亡の淵に立たせ、建国以来初めて主権を失わせた忌まわしい「大日本帝国」を愛していません。「日本国」に対する愛国心は誰もが自然と持っているものですが、「大日本帝国」に対する愛国心を持てる人は特殊な人たちに限られるでしょう。
今日本は非常に危険な時代の間にいます。「日本国」民の良識が問われているのです。