このところテレビが異様な状態になっています。
連日連夜、ワイドショーを中心に専門家とも思えない人物らがコメンテイターとして多数登場し、判で押したような定型化された理由で韓国を非難し続けています。
中には韓国人に対する暴力を教唆するような発言まで昼間の誰もが見聞きできる時間帯で放送するという、およそまともな社会であれば考えられないようなことが大手テレビ局で平然と行われています。
近年急速に進んできた日本社会の劣化がいよいよ臨界点を超えるところまで来てしまったのかと思えるような異常事態です。
このような状況は戦前に新聞、ラジオなどのメディアが一斉に戦争を煽り出した現象に酷似しています。
メディアの中でも今はテレビが主力で、そのテレビは視聴率至上主義です。要するに金儲けが全てという経営姿勢です。視聴率さえ上がればなんでもあり。そこでは倫理や品性など一切考慮されないのです。残念なことに日本では下劣な番組ほど視聴率が高くなる傾向にあります。YouTubeでセンセーショナルで下劣なビデオが人気になるのと同じです。炎上狙いで馬鹿な真似をして投稿する若者たちが続出して世間を賑わせたのも最近の話です。新手では先の参議院選でうまうまと当選を果たした「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏です。下劣な炎上商法で耳目を集めることに成功しましたね。
そこでテレビ局は炎上商法よろしく民衆の注目を浴びるような刺激的な番組を好んで放送するようになり、それに連れて視聴者の意識もますます下劣なものに変わっていきます。負のスパイラルに陥ってしまうわけですね。
いじめよろしく大衆は誰かをいじめることによって自身の不安や不満を解消したいという、あまり好ましくない欲求を持っています。
世論形成は時の権力者にとって最重要課題です。特に無能な政権では、様々な不都合な結果が続出するため、すぐに国民の不満が膨れ上がるでしょう。それを抑えるには何よりもメディアを抑えて、不都合な真実が国民の目に触れないようにしなければなりません。国民が飛びつくような話題があれば自分たちの不都合な真実を隠しておけるというわけです。
そこで往往にして時の権力は民衆が不満をぶつける対象を作り出し、民衆の注目をそちらにそらす手段を取るのです。
今までは北朝鮮のミサイルを使って国民を煽っていたのですがトランプ大統領が対話を始めてしまったので急遽方針転換。本当に軽いですよねぇ。外交をこんなに軽く考えられてはたまらないのですがねぇ。今回の民衆の敵として選ばれたのは韓国です。
本当にあきれるほど簡単に成功するものですね。あっという間に日本全土が嫌韓一色に染め上げられてしまいました。日本国民の軽さと危険性を象徴する、ある意味ぞっとする風景なのですが。
国内の様々な問題はそっちのけで、連日連夜、正しい事実や様々な側面について報道することなく結論ありきの韓国批判ばかり。よその国のことをそんなに熱心に批判するよりも先に、足元の重大な国内問題をきちんと報道しなさいと叱りつけたい思いです。もっとしっかりと批判すべき国内問題が放置され山積しているでしょう!
日本国民の無知を哀れむかのように、海外では日本の暴走の本質をきちんと把握しています。その例がこのワシントン・ポスト社の記事です。日本国民こそ知らなければならないのに恥ずかしいことです。
そこで嫌韓を煽っている人々が共通の錦の御旗にしている以下2つの主張について私なりに調べてみました。
1.韓国は1965年に締結した日韓請求権協定に違反した。これは国際法違反である。
この協定は国と国との間の行動を規定したもので個人の人権にかかわる問題には一切関係ない。そして協定通り韓国は国として日本に対してなんの請求もしていない。したがって協定違反であるという指摘は全くの言いがかりである。
徴用工の裁判は韓国内の個人と会社との間の民事裁判であり、司法の決定に国が介入することは日本ではいざ知らず、まともな民主主義国家で三権分立が機能している国においてはあり得ないことである。個人の請求権は国同士の協定の枠外にあり、国の請求権が失われても消滅することはなく存続する。それが基本的人権を共有する民主主義国家の国際的認識である。今までの日本政府は一貫して個人の請求権は存続するという認識で一致していたが、安倍政権になって初めて突然個人の請求権を認めないという見解に豹変したのである。そこに極めて劣悪な意図を感じる。日本政府は意識的に避けているが、要するに徴用工問題は人権問題なのである。国家間の単なる金銭の請求問題ではない。それを無視すれば日本は国際社会から民主主義国家としての存在意義を問われることになるだろう。
参考1 参考2 参考3
2.日本の安全保障上の理由による韓国のホワイト国からの除外措置
日本は韓国の戦略物資の輸出管理が杜撰で安全保障上問題であるから実施したと主張するが、現実には韓国の方が日本より管理体制が優れていると国際的に評価されており、全くのこじつけであることが分かる。要するに徴用工の裁判に対する報復であることは明らかである。
参考Web site
日本が何かに一色に染まっている時には注意した方がいいでしょう。特に嘘が常態化している安倍政権下の国の方針を丸呑みするのは極めて危険です。日本という国はかなり特殊で、空気を読んでみんなと同じになろうという気持ちが強い国民が多数派です。だから忖度などという、海外ではおよそ理解できない言葉が存在するのです。もっと端的に言えば個が確立していない国民でもあります。自分の意見を持てない、周りを気にしてみんなと同じになりたい、これは民主主義においては致命的な欠陥で、むしろ独裁国家、専制主義、全体主義に好都合な特性です。日本の権力はこれを巧みに利用しているのです。日本の民主主義が根付かないのはここに大きな原因があると思っています。
今日本の行政は大変な暴走をしています。
安倍首相の信頼をいいことに、その権威を借りて経産省が担当外の行政を勝手に支配しているのです。それがもろに現れた一例が今回の対韓国外交です。外務省は蚊帳の外、安倍首相と経産省のお仲間とでここまでことをこじらせたのです。素人外交がどうなるかはすでに7年に及ぶ全く成果のないばらまき外交で実証された通りです。近隣諸国との友好を進めるどころか対立を煽り、北方領土は経済協力付きでロシアに献上し、拉致問題は一寸たりとも進展せず、アメリカからは大量の武器購入と軍事費の拠出を迫られる有様。それでもなんとも感じずに支持する日本国民。
日本って何かおかしいと思いませんか?
追記
2019年9月13日号の週刊朝日で古賀茂明氏が以下のような記事を投稿しています。

能力が著しく劣るにも関わらず、安倍首相の権力を我が物顔に使って行政のいたるところを支配している経産省幹部の弊害がいたるところに現れ、日本全体の劣化が加速している実態が暴露されています。このままだと内政外交あらゆる行政が破綻し、日本は修復不能なタメージを被ることになるでしょう。戦争をしなくても日本は内側から壊れつつあります。