朝日新聞の世論調査から分かること


2019年11月19日の朝日新聞朝刊の一面に「桜を見る会」疑惑が発覚したことに伴う世論調査結果が掲載されました。

驚くべきことに「桜を見る会」に安倍首相の支援者が多く招待されたことについて、「大きな問題だ」がわずか55%、「それほどでもない」が39%と拮抗しているのです。内閣支持率に至ってはいまだに驚異の44%。7年間にわたって正常な国であれば何回も倒れているであろう様々な不祥事を起こし、今も起こし続けている政権がこれです。
そして長期政権についての設問に対して、なんと80%以上の人が具体的な例を挙げることなく「他に期待できる人や政党がない」という答えだったことです。

これから分かることは、国民の大部分は政治について全く関心がなく、今起こっている政治状況を全くと言って良いほどに知らないし考えてもいないということです。多分民主主義社会において何が公平公正で何が不当不正に当たるのかさえ理解していないのではないでしょうか?
この現実が史上例を見ないとんでも政権を長期にわたって続けさせている理由の答えです。

日本は民主主義国家だと宣言しているわけですが、それは形だけが整っているだけで中身は空っぽで全く機能していないハリボテの民主主義だったのです。
国会はその最たるもので衆参両院で与党が三分の二以上の議席を得てしまったため充分な議論を経ずに全て強行採決。国会は議論を深める場ではなく単なる形式的に存在する通過儀礼に必要な場に貶められてしまったのです。

国民は国民で、今日本の政治が何をしているのかに全く関心を示さず、テレビで連日流される芸能やスポーツ、様々なお笑いバラエティ、芸能スキャンダルに打ち興じるばかり。まるで隆盛を誇るローマ帝国市民が連日のように闘技場で流血ショーに熱狂し、国の情勢に無関心のままに蛮族達に滅ぼされた歴史を見るようです。

この国では政治家は誠実であればあるほど選挙で勝つことは難しいでしょう。政権を担うにはできるだけ現状を隠すことです。国民に調べられる心配はありません。国民は政治に全く関心がないのですから。実現するつもりもない夢のような政策をできるだけ華々しく飾り立てて喧伝することです。そして次々にそんな実現不能の華々しい政策を発表するのです。そうすれば国民は前回の約束の結果を検証したりせず、どんな約束をされたのかもすぐに忘れます。
この国では実直で誠実な政治家は育ちません。平気で嘘を言える詐欺師的な政治家だけが大きな権力を得られるのです。そしてどんどん実際の国力は低下し、権力側の少数者以外の大多数の国民は貧困に苦しむことになるでしょう。それはそれほど遠い将来の話ではありません。隠されていて多くの国民には見えない、あるいは見ようともしないでしょうが、すでに日本の価値は急落しつつあるのですから。