
「選択」の4月号に保阪正康氏の巻頭インタビューが掲載されています。
“霞ヶ関を腐らせた「政治家の劣化」”と題して今日本が置かれている深刻な状況について警告しています。
要約すると
・佐川氏の証人喚問について
「官僚としての責任から逃れ自分の身を守ることしか考えていない。喚問は、霞ヶ関がこの程度であり日本の官僚の劣化をまざまざと示した。」
・なぜ劣化したか?
「官僚たちは優秀なのにビジョンや想像力が欠けている。若い頃の人間形成が不足している。正邪の感覚をきちんと持ち、「公」に対する自負、プライドがない。もっともそんなことをしていたら東京大学に入れない。(笑)」「安倍政権の好き嫌いで露骨な人事をする。官僚たちは戦々恐々として自己保身ばかりを考える。」
・政治家の劣化はいつから?
「小選挙区制導入から」「有権者に揉まれることなく資質がお粗末な人が出てくる。国会中継ではびっくりするほど低レベルの質問や発言。自民党の比例選出の議員に多い。そもそも安倍首相は本を読む人ではない。言葉に形容詞が多く根拠を示さない断定調で話す。5分も話すと同じことを繰り返している。森友事件を見ても単純な権力のおごりでレベルが低い。多くの国民は恥ずかしく思っているだろう。」
・安倍政権の憲法改正は?
「日本国憲法を作った先達への畏敬の念が全く感じられず、歴史理解がない。こういう人の下での憲法改正はしない方が良い。」
・日本はどこへ?
「ファシズムに警戒。今の日本は指導層の中にナショナリズムの扇動者がいる。国民が成熟し抑止する必要がある。」
実に正鵠を射た指摘で、今の日本の危険な状況を明確にしてくれています。
本当に今日本は危ないのです。今この時期に国民の一人一人が政治に関心を持たなければとんでもないことが起こりかねないのです。
「世界」5月号にも安倍政権の根深い腐敗に関する深い議論が掲載されています。
特に注目したのは寺脇研氏と青木理氏の「森友学園問題の本質と深層」と言う対談です。この中で青木氏は、「加計学園の場合は腹心の友に関わるネポティズム(縁故主義)が、森友学園の場合は日本会議のイデオロギーが行政を歪めた。」と分析しています。正しい分析だと思います。いずれにしても非常に偏狭な私的な観点で政治が行われているという点で、民主主義国家と呼べるような状況に今の日本がないということです。
また「選択」の保阪氏だけでなく寺脇氏も、「国会議員の劣化」を指摘しています。確かに、最近の国会の議論を見ていると、特に自民党議員の驚くほど幼稚な質疑に唖然とすることが多くなりました。この人たちは本当に国民を代表している人たちなのだろうかと首をかしげざるを得ません。特に自分たちのしでかした悪事を全て官僚に押し付けて責任を全く取ろうとしない姿は醜悪の一言です。全体の奉仕者である官僚を自分たちのためだけに仕えさせようとする現政権の姿勢には憤りを禁じえません。
その他に日本経済学の大御所、伊東光晴氏の痛烈なアベノミクス全面否定、金井利之氏による公務員制度の公平・中立性の危機など珠玉の記事が満載で嬉しくなります。
「世界」はなかなか読みづらい本ではありますが中身は超一流です。デマが溢れた現況で頼もしい拠り所になると改めて感じました。