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今までもそうだったのだが、最近になって今更ながら国産の自然食品へのこだわりが特に大きくなってきた。それというのも、気が付いてみれば我々を取り囲む食料事情は、私が若かった数十年前に比べると著しく変貌してしまっており、我々が口にする食品の大部分が得体の知れない輸入品になってしまったのだ。
食料は人間、というよりは生物にとって何よりも大切なものである。食料無くして生命は存在し得ない。裏を返せば食料を制するものが世界を制するのである。
その大切な食料を今の日本は他国に頼る状況になっているのだ。先進各国に比べて日本の食料自給率が極端に低いことをご存知だろうか?

順位国名自給率(カロリーベース %)
1カナダ233
2オーストラリア169
3フランス131
4アメリカ121
5ドイツ84
6イギリス70
7イタリア58
8スイス50
9日本38
農林水産省「世界の食料自給率」から
日本は2021年、他国は2019年

これほど国の安全保障を危うくすることはない。何らかの事情で世界からの食糧の供給が途絶えれば今の日本では大勢の国民が飢餓状態に陥るだろう。

今まではお金を出しさえすればいくらでも食料を買える世の中だったが、世界人口が増加し各国が豊かになるにつれて、次第に供給よりも需要が大きくなりつつある。温暖化による世界規模での気候変動や戦争などの紛争もその傾向を助長している。更に日本の経済力は年々衰退しつつあり、今では必ずしも豊かな国ではなくなった。輸入したくても他の豊かな国に買い負けて以前のように思うように良質な食料を輸入できなくなりつつあるのだ。
従って日本は、少なくても食料の貿易においては非常に弱い立場に置かれていると言えるだろう。

特に欧米との貿易においては、日本の豊かさを支える自動車産業を守るために、生贄として農産物の関税を撤廃せざるを得ない状況に追い込まれ、安いが遺伝子組み換え作物や農薬にまみれた作物を輸入せざるを得ないことになってしまった。これも国民が安さだけを求める傾向が強いことも関係している。狭い国土でどうしても小規模にならざるを得ない国産農作物は、高品質ではあるが高価になってしまい、輸入農産物との価格競争に勝てないのだ。
その結果今や日本は、世界でも稀な、輸入農産物の農薬や薬品添加物の規制の緩い国になってしまったのである。

米国産牛肉に多用されている肥育ホルモン、モンサントの除草剤ラウンドアップに含まれるグリホサート、ネオニコチノイド系農薬などが含まれている食料品はEU諸国や他の多くの国では輸入禁止になっているのに、今や日本ではほぼフリーパスの状況である。他国で拒否された危険な食料が日本に集中するような状況になってしまったことに日本国民のどれだけが気付いているのだろう?
これらの添加物や農薬は摂取されてからすぐには影響が現れないが、長期間を経て毒性を示す。従って簡単な毒性試験ではその正体を知ることができない。気が付いた時には後の祭りなのである。

しかし近年様々な長期間にわたる動物実験や調査によってそれらの人体に与える深刻な影響が明らかになりつつある。グリホサートを巡る訴訟でも立て続けにモンサント社が敗訴し巨額の賠償金を科せられている。

最も心配されるのは幼少期から長い間体内に取り込み続けた場合の影響である。若い世代ほど安い加工食品や外食チェーン店を利用する。ところがここで使われる大部分の食材が輸入品であることが大問題なのである。現代では幼い頃から大量に添加物や農薬を体内に取り込む可能性が非常に高くなっているのである。

昔はそれほど話題にならなかった子供たちの異常行動、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーが激増している。乳がんや大腸癌、前立腺がんも増加の一途だ。

安さだけを求めて国内生産を衰退に追い込み、安いけれど世界の多くの国が危険だとする遺伝子組み換え作物や、添加物や農薬にまみれた食品に支えられた日本国民の食生活が、結局はそれらが原因で発症する様々な病気の膨大な治療費で、世界有数の日本の皆保険制度を破壊して日本国民の安心安全を脅かすことになるのだ。
「まさに安物買いの銭失い」で、日本という国は、国の政策としてこんな馬鹿げたことをしているのである。

以上の懸念に関して若い世代に是非読んでおいて欲しい本がある。政府や企業の利害に関わることなので大手の新聞やテレビでは絶対に報道されない内容だ。自分を守るには自分で調べるしかないということは肝に銘じるべきだろう。

  • 「食の戦争」 鈴木宣弘 2013年 文春文庫
  • 「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」 奥野修司、徳山大樹 2017年 講談社文庫
  • 「売り渡される食の安全」 山田正彦 2019年 角川新書
  • 「本当は危ない国産食品」 奥野修司 2020年 新潮新書

なお輸入牛肉については参考になる記事があるので以下を読んでみるのもいいと思う。

・ 「米国産牛肉、「肥育ホルモン」の衝撃的な実態」
・ 「オーストラリア産の牛肉は安全と言えるのか」
・ 「EUなぜ米国産牛肉の輸入禁止」