違和感のススメ

毎日新聞に連載されているコラムを抜粋した松尾貴史さんの「違和感のススメ」を読みました。

素晴らしい感性に敬服します。
瑞々しくまるで子供のような疑問には世の中を変える力が内在していると思います。

世の中が進歩してきたのも、すべてこの純粋な疑問が出発点でした。

「どうして?」
「何故?」
「なんで?」

こういう疑問、違和感を感じなくなったら、もはや停滞どころか衰退が始まります。

世界では、いや、日本でもたくさんの違和感が生じることが繰り返されています。
しかしそれに違和感を抱く人は少数派。
ほとんどの人たちは全く違和感を抱くことなく流されていきます。
マスコミに誘導されるまま、立ち止まって自ら考えることもなく、みんなと同じ方向に流れていくのです。

あらゆる重大な問題も、次から次へと提供されるどうでも良い事柄の洪水に洗い流されて人々の意識から消え去ってしまいます。

組織や国が衰退し滅びて行く時はこんな感じなのだろうなと暗い思いに囚われずにはいられません。
多分戦前もこんな感じだったのでしょう。違和感を感じた少数の人々の訴えは踏み消され、違和感を抱くことなく周囲と同化することによって安心感を得ようとする大人びた大衆の濁流に飲み込まれ、日本は破滅への道を突進してしまったのでしょう。

またそれが繰り返される予感がします。

国家の犯罪ともいうべき公文書改竄やデータ改竄、不都合な事実の隠蔽や沖縄の民意を踏みにじる横暴が日常化しているのにもかかわらず、これらがまるでなかったかのようなマスコミの報道姿勢。
森友加計疑惑の解明は全く進んでいないし(実際は進んでいるのにマスコミがきちんと伝えようとしない)、自衛隊の日報隠蔽問題も解明されず、データ改竄に伴う実質賃金の偽装疑惑もほったらかし。長期政権を支えてきたアベノミクスが全くのでたらめであったこともデータの廃棄によって検証不能にまでなっていることを国民のどれだけが認識しているのでしょうか?
そして現在、あろうことか証拠が残らないようにそもそも公文書を作らないようにするというとんでもない指示が政権内部から出ているところまで来てしまったのです。

今の日本のマスコミは、まるで重大な国の不祥事をなかったことにするのを手助けしているかのような動きをしています。
それは奏功しているようで、驚くべきことに内閣支持率が上昇しているという世論調査結果がテレビなどで報じられています。どんどん不祥事が積み重なっているのに内閣支持率が上昇するという、にわかには信じがたい現象がこの美しい国日本では起こっているのです。

もっとも、国家のデータでさえ改竄される国ですから、世論調査結果などはいかようにも改竄できるでしょう。国の発表と同じように、政権の支配が及んでいるマスコミの報道もそのまま信じるのは危険でしょうね。そのうち選挙の開票結果にまで不正が及んでしまうかもしれませんね。

それほどまでに今の日本は危ない国、信用できない国になっていることに国民は気付くべきだと思います。
NHKが報道したからとか、どこぞの有名大学の教授が言ったからとか、政府要人が言ったからとか、有名人が言ったからとか、それだけで無批判に受け入れてしまってはいけません。
大切なのは世の中の流れにそのまま流されないこと。いったん立ち止まり自分自身の頭で考え検証することを習慣づけることが大切だと思います。

何れにしてもこの「違和感のススメ」はまさにおススメです。
軽妙な文章に思わず引き込まれ、あっという間に読み終わりました。
最後の志の輔さんとの対談も必見です。